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Vol.4 〜3 級スティルライフの評価〜

第4回 3級スティルライフでは何を見ているのでしょう。

 この検定講座では、検定の意義やクリティークシートの大切さをお伝えしてまいりました。前回は、実際に3 級ストロークの作品をお借りして、クリティークシートの見方を解説いたしました。検定ではどんなことを審査しているのか、その一端がご理解いただけたのではないかと思います。
 今回は、昨年3 級のスティルライフカテゴリーにエントリーされ、合格まで、やはりあと一歩という方の作品をお借りいたしました。快くご理解ご協力いただき、皆様のために作品をシェアしてくださって、本当にありがとうございます。
評価の客観的な見方について書いていきますので、時には辛口に感じる部分もあるかもしれませんが、評価の方法とご理解くださいませ。検定では、もしこう描いていればとか、もっとこうだったらといった評価はしません。そこにある絵そのものが、どうであるか、という事を審査していきます。
 とっても丁寧で、きれいに描かれていますね。どこが良くて高い評価を得られて、なにが原因で合格まであと一歩だったのでしょう。一緒に作品を見ながら、考えてみましょう。

Img_3395 先ず写真では分かりにくいところですが、この作品は仕上げのニスがとてもきれいで丁寧です。フレームや背景の色も、デザインを引き立てて、とてもよくできています。厳密に言うと、色が少しずれているのですが、3 級ではそれほど厳しくとりません。そして何よりこの作品は、細かい部分の描写の丁寧さや、サイドロードで描かれたブレンドの技術の高さが評価されました。
 ここまでは、特別な検定のための勉強をしなくても、普段からトールペイントの作品を熱心に、そして丁寧にたくさん描かれていれば、どなたでも身に付けることのできる技術です。そしてこの技術をきちんと身につければ、合格が見えてくる作品が描けるようになるのです。
 このくらい描けるようになれば、次は、そろそろ色の事を学んでいく時期といえるでしょう。ここからが、この検定の提案する勉強の新たなスタートラインです。

 では、なぜ色の勉強が必要なのでしょう。絵を描いた時に、最初に見てほしい部分はどこですか?この部分をフォーカルエリアと呼びます。そこから、心地よく視線が流れて、絵全体をいつまでも飽きずにずっと、見ていてほしいですよね。そのために、色の流れが必要になります。写実的な絵であれば、立体感や質感はどうやって出しましょう。こういった問題が全て色をコントロールすることで解決できるのです。
 色を見ていくときに、混乱しないように必ず分けて考える必要があるのが、色の3 要素です。色相、明度、彩度、もうこれは、皆さんご存知ですね。今、自分がコントロールしようとしているのはこの3つの要素のうちのどれなのかを、常に考えながら色を見る習慣をつけましょう。とはいっても、最初はなかなか見分けるのは難しいですね。意識して、見ようとしているとだんだん慣れて、見分けることができるようになりますよ。

 では、再び作品をご覧ください。色はいかがですか?黄色、紫、緑この3 色をバランスよく繰り返していますね。色の勉強を一歩スタートし始めていることが分かります。もしここに、一つだけ全く違う色が有ったらどうでしょう?そこに目が行って、視線が釘付けになってしまいませんか?ここでは、ひまわりの花芯の色が、ちょっと黄色のカラーファミリーから外れていて、目を引いてしまいます。しかしこの花芯は、どうやら色よりも明るさに問題が有りそうですね。

 次に、明度を見てみましょう。ハイキーの柔らかいイメージの作品です。やはりひまわりの花芯が、暗すぎて、目が行ってしまいませんか?この作品では、どこがフォーカルエリアかよくわかりませんね。中央の紫の花と、左下のひまわりのあたりのような気もしますが、右上のひまわりの花芯や、左下のブルーベリーのあたりも暗いので目が飛んでしまいます。又、センターに近い白い花のシェードが明るすぎ立体感が無いので、やはりセンターを支える位置にしては弱いですね。一つ一つの要素にもっと暗いシェードを入れて、もう少し立体感も欲しいところです。明度の項目では、このように画面全体の明るさの流れとともに、一つ一つの要素の立体感を表すために使われている明度も見ているのです。
 彩度、鮮やかさについては、未知の世界でしょうか。おそらく絵の具のボトルから出した色をほぼそのまま使われていらっしゃるのかもしれませんね。

 トールペインティングは本来、たくさんの明度彩度のそろったボトルから選んだ色で描くクラフトですから、自分で色を調節して作るのは、ちょっとしたハードルでしょうか。うまく使えば、ボトルの色の明度彩度の並びで、流れを作ることもできます。でも微妙な色の変化には、やはり知識が必要です。この作品では、黄色、紫、緑の鮮やかさがどの位置でも全て同じに描かれているので、フォーカルエリアが確立されず、彩度の流れができませんでした。
 3 級では、まだそれほど完璧な彩度のコントロールは要求されません。色の3 要素の理解がもう少しずつ、作品に表現されていると、さらに高い評価を得られます。
 この作品からは、色について学び始めたことが感じられます。フォーカルエリアや立体感を作れるように、さらに色の勉強をしていきましょう。

 このように、いつものトールペイントがとっても上手になってきたら、ちょっとだけ色の勉強を初めて、検定で力試しをしてみませんか。クリティークシートを読むことで、次の課題が見えてきますよ。

Yamazaki_3
山崎裕子プロフィール:
イラストレータとして広告・出版の仕事に携わる。
2003 年ゴールドアーティストに認定。翌年よりシェリー先生・ペギー先生・キャロル先生から研修を受ける。2007 年MDAに認定。NTP(現JCA) トールペインティング技能検定の審査員として活動する。2009 年SDP のサティフィケーション審査員を務める。その他コンテスト多数受賞。現在トールペイントにまつわるブログを掲載中。
http://ameblo.jp/atelier-ys1/


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