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Vol.3 ~3 級ストロークの評価~

第3 回3級ストロークでは何を見ているのでしょう。

 検定講座も3 回目となりました。2 回にわたって、検定の意義や、クリティークシートの大事さを、お伝えしてきました。
 しかし、実際に検定を受けて、帰ってきたクリティークシートを見ても、勉強が進んでこないと、何を言っているのかが、なかなか読み取れません。そこで今回は、具体的に作品を見ながら、検定ではどんなことを審査しているのかを、解説していきたいと思います。
 昨年3 級のストロークカテゴリーにエントリーされ、合格まで、あと一歩という方の作品をお借りいたしました。このような試みに、快くご理解ご協力いただき、この講座を通して学ばれていらっしゃる皆様のために、作品をシェアして下さり、本当に感謝いたしております。この場をお借りして、お礼を申し上げます。
 評価の客観的な見方について書いていきますので、時には辛口に感じる部分もあるかもしれませんが、評価の方法とご理解くださいませ。検定では、もしこう描いていればとか、もっとこうだったらといった評価はしません。そこにある絵そのものが、どうであるか、という事を審査していきます。3 級は検定初心者のための級ですので、2 級、1 級と級が上がるにつれて、徐々に評価が厳しくなります。
 では一緒に作品を見て行きましょう。(3級ストローク作品例)
Img_3391 「え~・・・、こんなにきれいなのに合格しないの?厳しい~! 」っていう声が聞こえてきそうですね。とっても上手に描けているステキな作品です。
 フレームを見てください。スポンジングのテクニックで、作品をより魅力的にしています。このように何か手を加えると、それ自体が評価の対象になります。成功すれば、高い評価を得られます。失敗を恐れて、なにもせず、それが結果的にデザインを上手くサポートできない場合もあるのです。この作品の場合は、デザインの色や明度、彩度とバランスが良く取れ、目を引きすぎず、効果的に引き立てています。
 二スがけもきれいにできました。筋やゴミが無く、すべすべの仕上がりです。画面の表面は、実際に手で触ってすべすべかどうかを確認して審査します。
 バックグラウンドも、デザインとバランスの取れた明度、彩度の色
を選んでいます。こうした基本的なところは、検定ではきちんと押さ
えましょう。ストロークカテゴリーで最も重要なのは、ストロークや、ラインワークです。Img_3391up_2
 細く入って、少し膨らみ、最後は細く抜ける、一筆でひいたガタつきの無い滑らかなラインが理想です。そのラインに沿って、流れるように、一筆でストロークを入れていきます。カンマストロークは、ヘッドが丸く、徐々に細くなっていく、正しいティアドロップ型が、同じ間隔で、同じ方向に向かって正しいテイル( 終わり) で描かれているかを見ていきます。
 作品では、カンマストロークの丸いヘッドはきれいに描けていますね。ラインやストロークに、ところどころちょっとぎこちない部分が有ります。テイルがかすれて、転写のラインが見えているものもあります。しかし、一貫して、一筆で引いていると見えます。
 3 級としては、評価できるストローク、ラインワークですが、引き続き練習をしていきましょう。ストロークカテゴリーは、ストロークが、かなり良いと、高い評価が得られます。
 フォーカルエリアを作る必要はありません。色、明度、彩度が、バランスよく調和されて、流れができていればよいのです。もし、作ってあれば、フォーカルエリアのある作品として審査します。
 この作品は、中央部分の大きなチューリップが明るく、外側に向かって流れができているように見えるので、フォーカルエリアを作った作品として審査しました。
 先ず、明度を見ましょう。全体に明度の低いローキーで、中心が明るく、外側に向かって暗くなっています。画面全体の明度の流れがとてもよくできています。ただ、外側についているピンクのドットがちょっと明るく、目を引いてしまいませんか? 一つ一つの要素の明度を見てみましょう。きれいにブレンドできていますが、グラデーションが弱く、立体感が足りません。明度では、全体の流れと、個々のグラデーションや立体感を見ています。
 次に、色を見てみましょう。ピンクとグリーン系でできていますね。グリーンに注目して下さい。センターはイエローグリーンですが、外側に行くに従って、ブルーグリーンになってしまいました。これは、とても混乱しやすく、1 級の方でも、間違えやすい部分です。同じ色が、明度と彩度を変えて繰り返されている事で、全体の流れができるのです。もしイエローグリーンとブルーグリーンを使うのであれば、両方の色を、中央にも、外側にも使う事で色が流れます。でも、色数が多くなるとコントロールが難しくなるので、明度や彩度を変える時に、グリーンから、隣の色に変わらないように気をつける方がより簡単ですね。
 最後に彩度です。グリーン系は、外側に向かって明度を落としていった時、ブルーグリーンの彩度が、上がってしまいました。結果的に、フレームライナーのブルーグリーンがとても鮮やかになってしまい、デザインから目をそらしてしまいます。一方、ピンクの色は、センターが明るく、外側へ行くにつれ、色も彩度も変わらず暗くなっています。色と明度の流れはできました。しかしこれでは、彩度の流れができません。グリーンと比べてもセンターのピンクは、ちょっと彩度が低くバランスが取れていませんね。センターに向かってピンクをもう少し鮮やかにしていくと、彩度にも流れができます。色や彩度の流れを作るのは、とても難しいですね。3 級では、有る程度学んでいる様子が伺えれば、この部分は、それほど厳しい評価をしません。
 このように検定では、一つ一つの項目を、別々に見て行き、最後に総合評価で点数が決まります。
 シェリー・ネルソン先生は仰います。「1 日10 分、100 ストローク、毎日練習しましょう」
 トールペイントで習う基本的な技術をきちんと練習して、丁寧に描き上げることが大事です。今年の夏は毎日10 分練習して、3 級ストロークにトライしてみませんか?

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山崎裕子プロフィール:
イラストレータとして広告・出版の仕事に携わる。
2003 年ゴールドアーティストに認定。翌年よりシェリー先生・ペギー先生・キャロル先生から研修を受ける。2007 年MDAに認定。NTP(現JCA) トールペインティング技能検定の審査員として活動する。2009 年SDP のサティフィケーション審査員を務める。その他コンテスト多数受賞。現在トールペイントにまつわるブログを掲載中。
http://ameblo.jp/atelier-ys1/

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