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Vol.1 ~認定制度の意義~

第1回「トールペインティング技能検定の意義」
̶なぜ検定を受けるのでしょうか?-

 トールペイント…と、一口に行っても、実に様々な技法があって、とても幅の広いホビーである事は、もう皆さんご存知ですよね。
 アメリカントールペイント、ジョストボ、ローズマリング、マルチローディング、フローラル、スティルライフ…他にも数えきれないくらい色々なスタイルが有ります。
 図案があって、色も決まっていて、描き方も其々のスタイルに合わせて技法があるので、入口は、絵心が無くても、誰でも簡単に描けるようにできているのが、トールペインティングの良さですね。
 そして、上達するにつれて、それぞれのスタイルには、個々の認定試験などもあって、合格すれば、講師資格が取れたり、習ってきた図案が使えたり…と、これもまた、それぞれの規定に沿った認定が受けられるクラスもたくさんあります。これらの認定は、ご自身が習ってきたスタイルやカテゴリーの中での位置づけや証として、励みになる事でしょう。
 では、トールペインティングという全体を見たときに、ご自身がその技法を通じて学んできた事は、どのくらいの力になっているのでしょうか?
 ある認定は、ピラミッド状になっていて、実力や、年数に応じて高い評価にのぼり詰めていく形かもしれません。また、別の認定は、数個の課題で次々にお免状をいただけて、実力というよりは、モチベーションの為の認定かもしれません。しかし、それらは、あくまでもその技法、スタイルの認定なのです。
 どんなスタイルの技法を学んできたか、という事と関係なく、トールペイントを習う事によって得られる技術の向上や、知識の表現が、どのくらい身についたのかという、今の自分の力を図るための試験が、このトールペインティング技能検定です。
 検定というと、どうしても合格、不合格にとらわれて、一喜一憂し疲れてしまう人もいるかもしれません。それでは楽しいはずのトールペインティングが、まったく面白くなくなってしまいます。
 また、検定は、特別な勉強をしないと受けてはいけないと誤解なさっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
 この検定には其々の力を評価する、クリティークシートが付いています。これがとても大事なのです。そこには、ニスの塗り方、仕上げのていねいさ、細かいところへの気の遣い方、ブレンドのテクニックと、どこの教室で習っても、きちんと学ぶべきトールペイントの基礎の評価から始まり、ストロークやラインの正しい引き方、さらに勉強の進んだ方には、色の勉強の成果に至るまで、とても細かい項目から成り立っています。
 審査員は、一つ一つの作品を丁寧に、このクリティークシートに沿って審査していきます。各級の基準にしたがって、少しでも勉強の成果が作品に表わされていれば、ABC それぞれの評価が得られますし、点数も付きます。
 勉強のあとが見られなければ評価にNI(もっと勉強が必要)がつき、評価が出来ないとNFS、つまり点数が付きません。これは、試験ですので、クリティークシートでチェックする項目に評価されるような、トールペインティングの最低限の基本的な技術や知識を全く使わず、自由奔放なアートのように描いてしまうと、面白い作品でも点数をつける事ができず、NFS になってしまう事もあります。
 しかし、トールペインティング独特の、特殊な技法で描かれている場合は、そのスタイルを重んじて、評価していきます。
 55%以上の点数がつくという事は、習ってきた事が表現できているという事なので、とても大きな意味のあることなのです。65%には65%の、75%には75%の意味が有って付いている点数です。
 決して合格だけに意味のあるものではありません。
 検定の為の特別な勉強でなくても、近所のトールペインティング教室で、きちんとはみ出さない、デコボコしない、きれいなべた塗りや、スムーズなサイドロードを習い、正しいカンマストロークの引き方を身につければ、最初の一歩はもう、誰にでもできる事なのです。
 そして、一番大事なのは、検定を受けた後、クリティークシートに書かれている事をよく読んで下さい。次に、あなたが進めるべき勉強の方向が見えてくるはずです。毎年この検定を受けながら、指摘された勉強を積み重ねていく事で、徐々に実力が付き、いつか75%に達する力がついて、それがちゃんと表現できれば、自然と合格します。
 この技能検定のもう一つの特徴はとても奥の深い事です。級が上がるにつれて、アーティストとしての質も向上できるように、色彩学の要素が含まれています。技術とともに、教わった通りの色から、自分で決める色へと成長していく事が要求されます。
 そもそも、なぜ、このような検定が、できたのでしょうか?
 それは、トールペインターの質を向上させるための教育プログラムとして、日本トールペインティング協会が、14 年前に、当時アメリカのSDP のサティフィケーションで、長年審査員を務めておられたMDA の先生方をお招きして、検討を重ねて作られたものなのです。
 この検定が、始まってから、14 年の歳月が流れました。毎年数多くのエントリー作品の中から、それぞれの級のそれぞれの点数の基準となる、スタンダードと呼ばれる作品が選ばれ、写真に収められて、資料として蓄積されていきます。
 新しい年の審査にあたっては、必ずこの過去のスタンダードに照らし合わせて点数がつけられますので、年によって、あるいは審査員によってぶれるという事が無く、毎年同じ水準で評価されていきます。
 このように、システマティックにできているので、絶対的な信頼のおける評価の得られる認定制度と言えるのです。
 今の自分のトールペイント力を知るために、そして、次に何を学んでいけばよいのかを知るために、是非、検定にトライしてみて下さい。

Yamazaki
山崎裕子プロフィール:
イラストレータとして広告・出版の仕事に携わる。
2003 年ゴールドアーティストに認定。翌年よりシェリー先生・ペギー先生・キャロル先生から研修を受ける。2007 年MDAに認定。NTP(現JCA) トールペインティング技能検定の審査員として活動する。2009 年SDP のサティフィケーション審査員を務める。その他コンテスト多数受賞。現在トールペイントにまつわるブログを掲載中。
http://ameblo.jp/atelier-ys1/

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